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Windowsの「コントロールパネル廃止」は何年振り何度目か

はじめに

2026年4月、またもや「Windows 11でコントロールパネル廃止」という話題が上がってきました。今回の発火点は、マイクロソフトのデザイン統括者とされるマーチ・ロジャースが、2026年4月6日にXで「旧コントロールパネルのコントロールを"設定"アプリ群へ移行している(慎重に進めている)」趣旨を述べたことです。もう何度目だよ!と思ったので、ちょっと調べてみました。

結論

「コントロールパネルが(最終的に)設定アプリへ置き換わる/非推奨になる」と明確に読める"公式・準公式"の根拠付き言及をカウントした結果、該当は通算4回です。前回は2024年8月23日頃なので、591日=1年7か月14日ぶりで、4回目に当たります。

もう何度目だよ!というほどではなかったです。また、正確には "廃止" という言葉自体も勘違いによるところが多そうです。ごめんなさい。

調査メモ

どうやってカウントしたか

調査対象期間は、2000年以降を基本に、設定アプリ(Windows 8での「PC settings」相当)の登場前後を重点的に遡りました。2011〜2012年は、Microsoft公式ブログが「PC settings(Metroスタイルのコントロールパネル)」を紹介しており、ここをコントロールパネルと別UIを並走させる起点としています。これ以降、明確に廃止の意思を感じられるものをカウント対象としてみました。

廃止に向けた議論

2011〜2012年のWindows 8プレビュー期の公式ブログは、PCの基本設定を扱う"Metroスタイルのコントロールパネル(PC settings)"を紹介しつつ、同時に従来のデスクトップやコントロールパネル改善も強調していました。少なくともこの段階では「コントロールパネル廃止」を明言しておらず、並走を前提にしていたことが読み取れます。

2015年のWindows 10プレビューでは、Windows Insider向けの公式ブログが「新しい設定アプリはコントロールパネルに"似せた"ホームを持ち、検索は設定アプリにないコントロールパネルページも見つける」と説明しています。これは当時、コントロールパネルの機能が未移行であることを公式に認めている記述といえます。

そのうえで2015年に、Microsoft関係者が「設定アプリが従来のコントロールパネル機能を取り込む/コントロールパネルを置き換える」趣旨を公に述べたことが、主要メディアの引用で確認できます。すなわち、2015年時点で「最終的に一本化したい」という方針が対外的に語られたのは事実ですが、当時も期限は示されていません。

2024年8月のサポート文書は、"deprecated" という開発者向けに強い語を用いたため「ついに公式に非推奨化した」と大きく報じられました。しかしその後短時間で「多くの設定が設定アプリへ移行中」という表現に変わり、少なくとも「近い将来にコントロールパネルそのものを消す」とは言い切らない方向へトーンダウンしたようです。

そして今回の2026年4月に至るわけですが、ネットワークやプリンタ関連の互換性(多様なデバイスとドライバを壊さない必要)を理由に「慎重に移行している」という説明が中心です。大手英語メディアも同趣旨で「コントロールパネルを消すのが難しい理由」を解説しており、"廃止決定" と断定するのはミスリードと言えます。一部のメディアで見られた "廃止" の文言は釣りタイトルと言って差し支えないでしょう。

上記の流れを年表で整理すると以下のようになります。

区分 主要事項(要旨)
2011 公式ブログ Windows 8 Developer Previewの紹介の中で、PC設定用に「Metro style Control Panel(PC settings相当)」があると説明(従来UIと並走の出発点)
→ カウント対象外
2012 公式ブログ Settingsチャームから「PC settings」へ行けると説明しつつ、「コントロールパネルも改善し、全部いつも通り残っている」趣旨を記載(廃止は未表明)
→ カウント対象外
2012 公式ブログ 「どこからでもPC settingsへのリンクがある」と説明(PC settingsの常設を示唆)
→ カウント対象外
2015 公式ブログ Windows Insider向けに「新設定アプリはコントロールパネルに"馴染みのある"構成」「検索が設定アプリにないコントロールパネルページも見つける」と説明(未移行が公式に明示)
→ カウント対象外
2015 MS関係者発言(引用) ガブリエル・オールが「いずれ設定アプリが従来のコントロールパネル機能を取り込む(subsume)」趣旨を発言したとして引用報道
→ 1回目
2015 MS関係者発言(引用) ブランドン・ルブランが「設定アプリが最終的にコントロールパネルを置き換える(supersede)」趣旨を発言したとして引用報道
→ 2回目
2017 日本語主要メディア Windows 10(Creators Update)でWin+Xメニューからコントロールパネル導線が消えたことを解説("廃止"ではなく導線変更)
→ カウント対象外
2024 公式文書(サポート)+主要メディア Microsoftサポート文書に「コントロールパネルは設定アプリのためにdeprecatedの過程にある」旨が掲載されたが、その後「コントロールパネル内の多くの設定がSettingsへ移行中」という文言へ差し替えられた
→ 3回目("deprecated"文言の掲載)
2024 主要メディア(経緯整理) 「コントロールパネルがすぐ消える」系見出しが出たが、サポート文書更新により"今すぐ削除されない"方向へ整理されたと報道
→ カウント対象外(打ち消し・整理)
2025 公式ブログ Windows Insiderビルドで「時刻・言語/キーボード設定をコントロールパネルから設定アプリへ移行中」と具体例を列挙
→ カウント対象外
2025 公式ブログ Windows Insiderビルドで「キーボードのキーリピート/カーソル点滅などをコントロールパネルから設定アプリへ移行」と説明
→ カウント対象外
2026 MS関係者発言(日本語主要メディアが全文引用) マーチ・ロジャースが「旧コントロールパネルのコントロールを設定アプリへ移行中。ネットワーク/プリンタのデバイス&ドライバを壊さないため慎重に進めている」趣旨を発言
→ 4回目
2026 主要メディア(解説) 「コントロールパネルを消すのが遅い理由は、プリンタ・ネットワーク周りのドライバ互換性が大きい」と解説
→ カウント対象外
2026 主要メディア(日本語) 「Windows 11でコントロールパネルの全機能を設定アプリへ(=廃止へ)」趣旨で報道(根拠として上記発言・過去経緯を参照)
→ カウント対象外

なぜ廃止が進まないのか

Microsoft公式ドキュメントでは、コントロールパネルについて「設定アプリへ移行中の設定が多い」「互換性や未移行項目のため、コントロールパネルはまだ存在する」「可能なら設定を使うよう推奨」という立て付けになっています。ただ、これは「消す」と言い切っていない一方で、「主軸は設定アプリへ」という方針を明文化しているとも言えます。そのため、将来的には廃止したい意図は透けて見えるなというところです。

実際に、2025年の時点でも「追加時計」「時刻サーバー」「日付時刻や数値・通貨の書式」「Unicode UTF-8トグル」「キーリピート/カーソル点滅」といった項目が、コントロールパネル側から設定側へ移った(または移し始めた)ことがわかります。

blogs.windows.com

その他にもさまざま記事を読んでみましたが、結論、廃止が難しい理由としては、「ネットワーク/プリンタ周辺のデバイスとドライバの互換性を壊さない」というのが最大の制約のようです。

なぜ廃止したいのか

コントロールパネルは、マウスとキーボードを前提にした従来のPC向けに設計され、機能ごとに細かく分かれた「上級者向けの工具箱」のような存在でした。しかし、タブレットやノートPCの普及、タッチ操作の一般化、クラウドサービスの拡大により、誰でも直感的に操作できるUIが求められるようになったことが最大の要因と思われます。

設定アプリの誕生はWindows 8の頃ですが、Windows8は「誰でも直感的に操作できるUI」を目指していました(メトロUIって今となっては本当に懐かしいですね)。目的ごとに整理され検索もしやすく、初心者でも扱いやすい設計ではありましたが、(個人的な感覚ですが)「あまりにも早すぎた」という感じで、今では失敗だった感が漂っています。方向性は正しかったが、ユーザー体験を壊したということですね。

そして、あまりにも急激な変化を望みすぎたがために、古いシステムやドライバとの互換性との整合性が取れず、コントロールパネルが今もなお現役なわけです。

終わりに

そもそもこの背景には、Windowsが "互換性の鬼" と評されるほど、「互換性を捨てない」という思想がかなり極端なOSということもあると思います。企業ユースが大きな割合を占めるWindowsでは、古いシステムが動かなくなることを避ける必要があり、デザイン最優先で互換性を捨てることができないわけです。似たような話で、NTLM認証などの危殆化した認証方式を捨てるのにも多大な苦労をしていることからも、コントロールパネルを捨てられないことが感じられるのではないでしょうか。

参考

今回の記事を書くにあたり確認した資料をメモで残しておきます。

Microsoft公式(ブログ・サポート・ドキュメント)

主要ITメディア(英語)

主要ITメディア(日本語)

以上